その7.加速していく

「泥船会社盛衰記」連載!

スナガさん経由の仕事はなかなか骨が折れた。ホームページ以外でも次から次へとおかしな仕事が舞い込んできたのだ。

「〇〇というお客さんのところにパソコン操作を教えにいってくれる?」

唐突にこんな連絡が来る。

「ウチでパソコンを買ってくれたら、高雄、ってのが一週間タダで操作を教える、って約束しちゃったから。あとよろしく~。」

こんな感じである。わけのわからないまま、2時間近くも車で移動していろいろ教えなくてはいけなくなってしまった。しかも自分の成績として売り上げなどは全くつかない。外に出ている間はデスクワークがストップするわけだし、パソコン1台の儲けでやることじゃない。しかし、この人は止まらない。

「今度のお客様にはね、電話サポートするという話で高雄君の電話番号伝えておいたから。対応よろしく~」

高雄サポートセンター開設である。

で、本当にかかってくる。休日の朝、リフレッシュしようと釣りしてる最中とかにもかかってくる。本当に困った状態だ。話のしやすい先輩であるタルサキさんに相談してみるも、

「そんなもんはおっぺしちまえばいいんだよ!」

と、言葉の意味はわからんがとにかくすごい自信のある感じのことを言われるだけで解決はしない。・・・『おっぺす』ってなんだ。そんなことは置いといて、事態は加速していく。

”スナガさんが高雄をダシにして売り上げをあげている”、この事実が広まり、黙っていなかったのは他の営業所の部長たちだ。皆、自分の成績を上げることに必死だ。各地でのPC販売に伴い、常に出張するような事態になってしまった。日によっては足利⇒鹿島⇒浦和と移動することも。もうめちゃくちゃだ。ついにイササカさんや社長に相談した。これにより、各支部長の暴走は少しはおさまり、少なくとも高雄サポートセンターは閉鎖することができた。

しかし。各支部長には当然部下の営業さんたちもいるわけで。トラブルの種は尽きません。もちろん、あのアヤシイ商品に関する部隊も動いているわけで。

次回はその辺にも触れてみます。

<つづく>

「ダブルオーゼロ」よりスタッフとして参加。スタッフ兼エキストラとして活動していたが、2012年より役者にチャレンジ。

コメントをいただけるとメンバー一同喜びます