スタッフ十年史 第七回

木曜の男

 自己批判ショーの東京公演の中で最も高評価だったのがこの木曜の男ではないだろうか。古河マップに続いてミュージカルと銘打ったこの作品は生バンドを取り入れる贅沢な舞台となった。

 当時の自己批判ショーの内情を振り替えると、客足は伸び悩み、広報、宣伝活動に大きく予算をかけれるわけでもなく、劇場代で赤字になる公演を打っては苦しむ、負のサイクルの中にいたといえる。それでもこんな大掛かりな公演を打つんだから、面白いものを作るためには躊躇がない馬鹿野郎な集団である。

 さてそんな中、他の同じ規模の劇場で活動している劇団さんの宣伝活動のことを聞く機会があった。撒いているチラシの枚数は自己批判ショーの軽く3倍以上。大きく宣伝をするようになってから動員にもつながったという話だった。

 この話を受け、三分の一以下の宣伝で客が少ないと歌っていることが妙に恥ずかしくなった私は、少しでも宣伝の規模を大きくしようと個人で勝手にチラシを作って撒き始めた。その時のチラシは文字ばかりの他愛もないものだったが唯一取り上げるならばこれ。

もくようくん
非公式キャラクター もくようくん

 わざわざ非公式のキャラクターを作成しての個人活動。 そしてその後に作った自己批判ショー本隊のチラシがこちら。

残念ながらもくようくんの出番は無かった
残念ながらもくようくんの出番は無かった

 アイデアが出ない中からポッと出たチラシ。このジャポニカ風はなかなかのインパクトを残せたようだった。(が、どんな内容の舞台かさっぱりなわけで、本当の問題は枚数じゃなくてコッチだ) 映像的にはこんなものを作ったり。

tatehuda
悪の牧場。木曜の男は名曲揃い。

 さて、名曲揃いで高評価してくれる方も多い公演であったが、結果としては動員が大きく変わることはなかった。

 

 

 そして私がとった勝手な宣伝活動。これは宣伝面を強化しよう、という仲間への訴えを込めてはいたつもりだった。が、誰からも賛成されることも、咎められることもなかった。(今思えばちゃんとした話し合いの場を設けてないんだから、なんの意見ももらえないのは当たり前の話)

 そして恥ずかしい話、精神的にガキである私は結局のところ、この宣伝活動を誰かしらに褒められたかったのでしょう。スルーされたことに勝手にキレて、何の対話ももたずに辞めると言って、自己批判ショーを離れたのでした。

 そう、自分でも忘れていた。十年史などと言っておきながら私のスタッフ史は実はここで途切れていたのだ。

 ではなぜ今もここにいるのか。

 それは私に声をかけてくれたヤツがいたからに他ならない。

 大久保くんだ。

 深夜のファミレスで「自己批判ショーを辞めるのはもったいない」と声をかけてくれたのである。今まで積み重ねたものに対しても、自己批判ショーの可能性に対しても、もったいない。

 大久保くんの説得に私は少し落ち着きを取り戻し、”退団”を”休団”に変更。ひとまず劇団を休む形をとったのだった。

そして現在。こんな暴走を起こす厄介な奴ではありますが、まだまだ居座っております。キャストの方にまで足を踏み入れて。 その足を突っ込むきっかけもそもそも大久保くん。彼がいなければ今の自分はなかった。

そんな大久保くんを偲ぶイベント、自己批判葬を9/23に開催します。そうです、ここまで読んでいただきありがとうございます。告知です。

自己批判ショーは自己批判ショーらしいバカをやり、ゲストの方々もそれぞれの思いを持ってパフォーマンスに臨んでくれます。思い出を語るトークコーナーも。

ご予約はこちらで受け付けています。

そして最後に。またちょっと暴走します。今まで撮影してきた映像の中から大久保くんの出演シーンなどをピックアップして納めたDVDを作成します。このDVDを来場してくれたお客様全員にプレゼントしたいと思います。終演後に手渡しする予定ですので、是非。

 

「ダブルオーゼロ」よりスタッフとして参加。スタッフ兼エキストラとして活動していたが、2012年より役者にチャレンジ。

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